建設系技術者の継続教育(CPD)の実施ガイド

                                           2009/07/21                                       
                                          NPO法人 西日本建設技術ネット
                                          文責 副代表理事(CPD担当)  小 西   徹 

はじめに
公共工事の契約で活用されている建設系技術者の主な資格に連動した継続教育(CPD)制度の概要を、CPD実施ガイドとして解説する。

建設系技術者の資格の例  (緑色太文字は本項で解説)

   ☆ 国家資格
             技術士(建設部門 他)

             一・二級土木施工管理技士(監理技術者)、 測量士、 一・二級建築士、

             一・二級管工事・造園・建築・建設機械施工管理技士 等               

   ☆民間資格 
             RCCM 、 土木学会認定資格、 地質調査技士、

             コンクリート技士・主任技士、 コンクリート診断士 

             環境アセスメント士、  一・二級舗装施工管理技術者  

             交通工学研究会認定資格(TOP・TOE) 等

   ☆国際資格  
             APECエンジニア、 EMFエンジニア等   

建設系技術者の資格の多くは(国家資格、民間資格を問わず)一定のCPD登録や、更新時において講習の受講などを要件としている。また、国土交通省を主として国の機関は、技術者の評価基準の項目のひとつにCPDを取り込んでおり、地方自治体においてもこの制度を採用・拡大する方向で進んでいる。技術者は計画的、継続的にCPD(継続教育、組織・機関によっては継続研鑽や継続学習と称する)を実施し、自ら倫理観や技術力を高める努力を行うことが求められている。 

CPD制度の共通事項

 資格・機関で違いがあるが、各CPD制度・システムの共通事項は以下の通り。

1.資格登録更新期間(一般に3年〜5年間)内に一定のCPD単位(年間30〜50単位×期間年数)を取得・登録して、資格更新時あるいは任意時期に登録機関から審査を受ける。

2.CPD教育分野としては、基礎共通、総合技術分野と、専門・周辺技術分野等の2分野、または基礎共通分野(工学,科学基礎、倫理、環境、法制度、社会経済動向、国際交流等)専門技術分野(各団体で分類)、周辺技術分野(情報、防災・事故事例等)、総合管理分野(リスク、品質、安全等マネジメント、PM、CM等)の4分野に分類されている。

3.CPDの形態として、次の4つのパターンがある。

  @ 参加学習型 (講習会、研修会、講演会、シンポジウム等への参加、企業内研修など)

  A 情報提供型 (論文等の発表、技術指導、技術会議への出席など)

  B 実務学習型 (OJT、業務経験など)

  C 自己学習型 (学会誌購読、通信教育、教育WEB,ビデオなどによる学習)

CPDの形態すなわち、講習・講演会参加(受講・講師)、論文等の発表、技術資格の取得、企業内研修(受講・講師)などの形態により、それぞれ時間重み係数が決められている。

  (例:講習受講:1  社内講習会講師:2〜3  公的資格取得:10〜20) 

 講習受講や講師などは、実時間に時間重み係数をかけた単位となる。時間が計りがたい形態(自己学習や公的資格取得)では、それぞれ個々に規定がある。形態・分野によってはCPDの登録を認めないか、審査が厳しい機関(資格)もあるので個々に確かめる必要がある。

 

4.講習受講や成果などについてそれぞれの資格を所管する機関への会員登録、認定証および参加証明書等(記録・証拠)の保存と、決められた書式での登録(WEB登録が基本)が必要である。

5.それぞれの機関自ら開催するCPDプログラムの他、CPD協議会の加盟団体のいずれかで認定されたプログラムは、加盟団体相互に認定プログラムとして認証される。

   建設系CPD協議会  http://www.cpd-ccesa.org/  現在14機関・団体加盟

   主な加盟団体は以下のとおり  (建築および建築設備系はここに掲載していない)

         (社)日本技術士会(IPEJ)        (社)土木学会(JSCE)

         (社)日本コンクリート工学協会(JCI)   (社)地盤工学会(JGS)

         (社)建設コンサルタンツ協会(JCCA)   (社)日本都市計画学会

         (社)全国土木施工管理技士会連合会(JCM)

         土質・地質技術者生涯学習協議会     (社)日本造園学会  他

(測量協会等、測量系資格団体はこの建設系CPD協議会には加盟せず、これとは別の測量系CPD協議会 https://www.jsurvey-cpd.jp/ を組織している)
         

6.発注機関等の要請や、企業の技術力評価の表示のために、またそれぞれの資格登録の更新の際や申請により、技術者各人のCPDの登録証明の発行を受けることができる。また技術者の研鑽履歴(成長)の記録としての活用もできる。 

主な資格ごとのCPD実施ガイド

 ここでは主な建設系国家資格および民間資格のうち、建築及び設備系、測量系を除く、   技術士(建設部門 他)、RCCM、一・二級土木施工管理技士(監理技術者)、土木学会認定資格、APEC エンジニアについて、CPDガイドの概要と詳細情報のダウンロード先を記載する。本項で概要を把握し、制度や手続きの詳細は各ホームページのリンク先を参照されたい。 

1.技術士
 平成12年の技術士法の一部改正に基づき、資格取得・登録後の「公益確保の責務」「資質向上の責務」としてCPD(継続研鑽)制度がスタートした。技術士には登録更新制度はないが、(社)日本技術士会(IPEJ) http://www.engineer.or.jp/ においてCPD会員登録制度(更新制)ができ、さらに(社)日本技術士会(IPEJ)で公表した「技術士ビジョン21」では、今後CPDの登録、更新を要件としたコンサルティングエンジニアの新たな資格制度創設の動きもある。     http://www.engineer.or.jp/jcea/vision21textversion.pdf

 CPDの記録・登録には、WEBと文書の2通りあるが、随時登録が可能で電子化データにより運用管理が容易なWEB登録が推奨されている。WEB登録は技術士会会員・非会員を問わず可能で、(社)日本技術士会のHP にID、パスワードを登録してアクセスする。技術士CPDWEB登録ID、パスワード(非会員用)の取得申請先

 http://www.engineer.or.jp/cpd/shinsei/index.html

技術士本人の申請によりCPDの登録証明書が発行される。また一定以上のCPD登録(目標として年平均50CPD時間(単位)、3年間で150CPD時間(単位))の実施に基づき、会員の申請によりCPD認定会員証が発行され、併せてCPD認定会員名簿https://www.engineer.or.jp/cpd/cpdk0005.php がHPに表示されている。 

 CPDの区分、課題項目、形態等、記録登録等は以下のHPに掲載している。

技術士CPD https://www.engineer.or.jp/cpd/?back=%CC%E1%A4%EB

http://www.engineer.or.jp/cpd/pe-CPD.html

 日本技術士会のCPD認定会員登録の主な要件は、次の3項目に規定されている、

1)1年間で30時間以上、3年間でのCPD単位150時間以上

2)CPDの登録区分(以下)はA,Bそれぞれバランスよく(Aを2項目以上、Bを1項目以上)取得すること。 A区分(一般共通課題)、B区分(技術課題)

A 区分:一般共通課題・・・ 1.倫理、 2.環境、 3.安全、 4.技術動向、 5.社会動向、
                  6.産業経済動向、 7.規格・基準の動向、 8.マネジメント手法、
                  9.契約、 10.国際交流、 11.その他

B 区分:技 術 課 題・・・  1.専門分野の最新技術、 2.科学技術動向、 3.関係法令、
                  4.事故事例、 5.その他 

3)CPDの形態は講習受講など1つに極端に偏らず年間3形態以上とすること。

 技術士CPDは技術士会認定(主催)のCPDの他、各学協会等のプログラムの参加等を自主的に登録することができるが、CPDの登録内容について監査がある。2009年6月に監査結果が公表され、不適合の例が指摘されているので、参照のこと。

CPD監査報告  http://www.engineer.or.jp/cpd/cpd_kansa_houkoku0906.pdf

 この監査報告によると、CPD認定会員を対象にしたCPD監査(初回)では、監査対象数(CPD認定会員の約10%の無作為抽出)のうち、目標時間に達していないか大きな指摘事項があって、約27%の会員の監査結果が△(規定未達)となっている。

2.RCCM

 (社)建設コンサルタンツ協会(JCCA) http://www.jcca.or.jp/ が創設したRCCM資格は、同協会の非会員会社にも制度を開き、同じくCPDも推奨し登録制度を設けている。建設コンサルタンツ協会は、RCCMを含めた資格保有者のみをCPDの対象にしているわけでなく、資格保有非保有に関わらずコンサルタント技術者全体を対象としているが、特にRCCM資格登録更新時、すなわち4年間に最低100単位の取得を義務づけている。(協会としてのCPD推奨単位は年間50単位である)

 CPDの教育分野および内容、形態として(社)土木学会と(社)日本技術士会が先に制定したCPDシステムに準じ、

A : 基礎技術分野・・・1.倫理、2.一般科学、3.環境、4.社会動向、5.法律、契約、6.教養、7.その他

B : 専門技術分野・・・ 1.河川、2,交通、3.都市計画、4.上下水道、5.農業・森林・水産分野、6.電気・電子、7.土質・基礎、地盤、
               8.構造物設計(鋼・コンクリート等)、9.施工計画等10.建設環境、11.その他

C : 周辺技術分野・・・情報工学、情報化技術、プレゼンテーション、ミス防止、海外事業等

D : 総合管理分野・・・建設生産システム、CM、PM、品質管理、安全管理、工程管理、マネジメント、PFI等

に分けられている。本協会におけるCPDプログラムの大きな特徴として、協会内の活動やコンサルタントで行う業務経験についても評価(所属長が優れた成果として認めたもの)していることである。その他、講習受講や、講師などの形態および時間重み係数などは技術士CPDに準じて制定されている。RCCM資格保有者は、技術士資格保有者に準じて資質向上の責務として平成22年度以降、「RCCM資格試験」合格後4年以上を経過し新規あるいは登録更新時に、CPD登録の直近4年間で100単位以上のCPD単位を取得することが、資格更新時に配布されるCD-ROMによる自己学習(試験あり)に加えて必修となっている。 

建設コンサルタンツ協会のHPでのCPD関連情報のダウンロード先は以下のとおり。

    CPD関係情報(全体) http://www.jcca.or.jp/qualification/cpd/download.html

     CPDパンフレット  http://www.jcca.or.jp/qualification/cpd/download/CPDPanfu.pdf

    実施要領(第2版)  http://www.jcca.or.jp/qualification/cpd/download/CPDyouryo2.pdf

    手引き(第2版)     http://www.jcca.or.jp/qualification/cpd/download/tebiki2.pdf

     CPDの記入例    http://www.jcca.or.jp/qualification/cpd/download/CPDkijyutuEx.pdf

     CPDの分類表    http://www.jcca.or.jp/qualification/cpd/download/CPDpoint.pdf

3.(一、二級)土木施工管理技士(監理技術者)

 (社)全国土木施工管理技士会連合会(JCM)http://www.ejcm.or.jp/ は独自の「継続学習制度(CPDS)」を平成12年度より運用開始している。CPDSは各県単位での技士会会員以外にも門戸を開いて、その加入者数(現在約9万人)は各団体の中で最大であり、年々増加している。

継続学習制度(CPDS)のガイドライン http://www.ejcm.or.jp/07cpdsguide070221.pdf

(2009年度改訂)がホームページに掲載されている。CPDSへの加入、学習プログラムの認定、講習会等を受けたことの記録に基づくCPD登録、学習履歴証明書の発行等の申請は、連合会ホームページからID・パスワードでログインして行う電子申請を原則としている。紙による申請も可能である。手続きはすべて電子申請と証拠書類のfax 送付が対になっていて両方行わないと申請したことにならない。 継続学習制度(CPDS)の手続き  http://www.ejcm.or.jp/index2.html

CPDSの申請は技術者個人でも、所属する会社からでもできる。会社(団体)からも申請ができることが他の資格(技術士、RCCM等)と大きく異なる点である。それぞれ加入時に個人及び会社のIDとパスワードを取得する必要がある。現時点では、建設系CPD協議会加盟団体(14団体)で認定されたプログラムであっても、他団体でユニットの求め方が異なり、形態や教育分野によって実質的に認定されない場合がある。自社の研修や加盟団体の学習履歴の受講証明は、規定による審査を経て認定される。他の資格団体のCPD申請は、資格更新時あるいは、任意の時期に内容が審査(サンプリング審査もあり)されるが、この団体では申請時にすべての内容が審査される。この団体では、施工技術の専門分野に重点を置いて認定の判断をしている。認定しない学習プログラムの例としてガイドラインに以下のように記載している。

  (1) 専門分野が違うもの

  (2) 一般の人、労務管理者、事務系職員を主な対象とするためのもの

  (3) 通常業務に相当するもの

  (4) 内容で技術の向上以外の部分は認定しないもの

 CPDSを個々の入札時の技術力評価や入札参加資格審査に用いている行政機関は、国土交通省九州地方整備局を皮切りに関東、中国地方整備局から全国の各機関へ、さらに各県へ広がり現在ほとんどの都道府県で採用されている。

国、県、市においてCPDS(継続学習制度)を技術力評価項目とした例 http://www.ejcm.or.jp/06CPDShyoukarei2.html

登録更新制になっている「監理技術者」は登録更新時に講習を受講する制度になっているが、このCPDSにも建設系技術者の他のCPD制度にも関係していない。

(財)建設業技術者センターhttp://www.cezaidan.or.jp/license/kanri1.html

4.土木学会認定資格

 (社)土木学会(JSCE)では、2001年4月より「土木学会継続教育制度」を開始、2005年より新たなCPD記録・登録システム(WEB登録)に切り替えた。この継続教育制度に連動し、倫理観と専門的能力を有する土木技術者を評価し、社会に対し責任を持って明示することを目的に、土木学会独自の認定技術者資格制度を2001年から創設した。この資格には以下の4つの階層があり、それぞれに要求される能力は以下のとおりである。

 (1) 特別上級技術者(Executive Professional Civil Engineer (JSCE))
 日本を代表する土木技術者として、専門分野における極めて高度な知識と経験を有するか、あるいは土木技術に関する広範な総合的知見を有する。 (土木学会フェロー会員であることが条件)

 (2) 上級技術者(Senior Professional Civil Engineer (JSCE))
 複数の専門分野における高度な知識と経験を有するか、あるいは土木技術に関する総合的知識を有し、重要な課題解決に対してリーダーとして任務を遂行する能力を有する。

 (3) 1級技術者(Professional Civil Engineer (JSCE))
 少なくとも1つの専門性を有し、自己の判断で任務を遂行する能力を有する。

 (4) 2級技術者(Associate Professional Civil Engineer (JSCE))
 土木技術者として必要な基礎知識を有し、与えられた任務を遂行する能力を有する。

  土木学会 技術推進機構 技術者資格 http://www.jsce.or.jp/opcet/shikaku.shtml

 土木学会会員は自動的にCPDメンバーとして登録される他、上記各認定資格の登録者は、CPD登録の審査により5年毎の登録更新を受けることになっている。すなわち、「技術者資格」と「継続教育(CPD)」は車の両輪、という考え方に基づき、資格更新のためには年間50単位×5年=250単位以上のCPDが必要である。CPD登録、プログラムの認定は、すべて土木学会のホームページからWEBで申請する。

また、建設系CPD協議会 (前掲 http://www.cpd-ccesa.org/

の中心組織として、CPDに関するデータベース、開催情報の検索システムが運用されている。

CPD制度案内         http://www.jsce.or.jp/opcet/cpd.shtml

http://www.jsce.or.jp/opcet/01cpd/H19_PRchirashi1.pdf

CPD制度概要         http://www.jsce.or.jp/opcet/01cpd/gaiyo_0611.pdf

CPDプログラム自己登録の入力例 http://www.jsce.or.jp/opcet/01_input.shtml

教育分野は、土木学会のCPDに準じているRCCMの教育分野にほぼ同じで、T.基礎技術、U.専門技術、V.周辺技術、W.総合管理の4区分を全体でA〜Oまでの15区分に記号で分類している。うち専門技術分野はT〜Z(G〜M)まで分かれ、原則として土木学会年次学術講演会の部門に準じている。  

教育形態は以下の通りで、それぞれのCPD単位(重み係数)が決められている。

 T.講習会研修会、講演会、シンポジウム等への参加

      講習会、研修会等への参加  講演会、シンポジウム等への参加

 U.論文等の発表

        口頭発表(法人格を持つ学協会での発表、講演)

        口頭発表(法人格を持つ学協会以外での発表、講演)

        論文発表(学術雑誌への査読付き論文発表)  論文発表(一般論文、総説等)

        技術図書の執筆

 V.企業内研修及びOJT

        企業内研修プログラム受講  OJT

 W.技術指導

        大学、学術団体等の講師  その他、社内研修会等の講師

 X.業務経験

        成果を上げた業務等(責任者) 成果を上げた業務等(担当者) 特許取得(発明者に限る)

 Y.その他

        技術会議への出席(議長や委員長の場合) 技術会議への出席(委員や幹事の場合)

        大学、研究機関(企業を含む)における研究開発・技術業務への参加、   

        国際機関への協力等  自己学習

5.APECエンジニア

 APEC、EMF エンジニア等の国際資格登録技術者の相互認証の必須要件として、各国の技術者登録・認証制度がすべてCPDを義務づけていることから、CPD登録制度がスタートした。

5年ごとの登録更新があり、その際、CPDを年間50単位、5年間で250単位の登録が必要である。技術士登録者がAPECエンジニアに登録申請することからCPDの要件は主として技術士と同じであるが、CPDの審査は厳格に行われる。

 APECエンジニアの登録要件    http://www.engineer.or.jp/apec/youken.html

6.その他の関連する学協会等団体 CPDシステムへのリンク先

 ここに解説していない資格関連のCPD制度の詳細は、次のリンク先に掲載されている。

(社)日本工学会「PDE協議会」      http://www.pdecj.org/

緑化工学会「緑化・環境CPD協議会」   http://www.gaecpd.com/

測量系CPD協議会「測量CPD」          https://www.jsurvey-cpd.jp/

(社)交通工学研究会「TOP・TOE CPD」  http://www.jste.or.jp/toptoe/cpd/index.html

以下建設系CPD協議会( http://www.cpd-ccesa.org/ )前掲以外の加盟団体のCPD

(社)地盤工学会「G-CPDシステム」     http://g-cpd.jiban.or.jp/index.html

(社)農業農村工学会(旧農業土木学会)「技術者継続教育機構」http://www.jsidre.or.jp/cpd/

(社)日本造園学会 「造園CPD制度」   http://www.lacpd.jp/01top.html

(社)都市計画学会「都市計画CPD」     http://wwwsoc.nii.ac.jp/cpij/cpd/index.html

(社)日本環境アセスメント協会「JEAS-CPD」http://www.jeas.org/shikaku/index2.html

土質・地質技術者生涯学習協議会「GEO-Net」https://www.geo-schooling.jp/


おわりに (問題点と今後の方向)

技術者個人の能力向上を組織的に行い、さらに技術力の評価に結びつけるため、CPDの重要性が徐々に認識されて制度が定着してきたといえる。しかし、CPDが活用されるにつれ、歴史が浅いが故に、各機関や個人の認識の違いにより、また制度整備や活用の不備により、いくつかの問題点が顕在化している。

1.CPDの取り組みは講演や講習会での受講など、いわゆる「参加学習型」の形態に全体の8割が偏っている。

このため、格付けに利用し始めた自治体では、技術力評価の単位取得を目的に講習会に殺到する傾向が出ている。

また、講習会の開催が大都市に偏り、地方都市では近くで受講する機会が少なく、交通費などの費用負担が大きくなり不公平感がある。

2.企業および個人の技術力評価に結びつくことが期待される反面、技術者のレベルや能力に応じて能力開発を進めるための、体系的なプログラムになっていないものが大部分である。

現在建設系CPD協議会に加盟する団体では、それぞれの団体自らが実施するプログラムの他、申請に基づき認定プログラムとして承認しているが、聴講者が一般的に少ない技術者倫理などのプログラムが少ない、などプログラムのバランスがとれているとは言い難い。

提供するプログラム内容を調整・補完する機能が働いていない。

3.CPDの登録が企業内での技術力や昇進などの評価に結びつかず、また時間や費用がかかる割には個人の評価点に差が小さいなど、動機づけに結びついていない。

一方、CPDの具体的成果が資格の取得などと違って定量的に行いにくいこともあって、費用対効果の面で、現状での取得単位数のみの評価に課題がある。

4.CPDにかかる費用・時間の負担が企業・個人とも大きい。企業の合理化、仕事の減少により人員が減っており、時期、組織によっては、定期的な単位取得が難しい。

5. 複数の資格を保有し、複数の学協会・団体に加入し活用している技術者にとって、資格・機関ごとに登録システムが異なるため、煩雑である。たとえばダブル、トリプル登録者(技術士と土木施工管理技士、技術士とRCCMと土木学会認定技術者など)はそれぞれの機関に登録する場合、同じ内容のCPDプログラムを異なる書式で登録する必要がある。

6. 受注側の技術者にのみ要求するCPD制度であり、各種資格の取得も含め発注側には義務づけられていない。受注者と発注者の技術力、技術に関するコミュニケーション能力にますます格差が広がり、業務の遂行に支障が出ている。

 CPD制度を本来の目的に近づけるため、これらの問題点を改善しCPDの効果をきちんと計量化し、CPD登録をする技術者の適切な評価と動機づけに結びつけ、資格と連動した適切な活用に結びつけていかなければならない。

以上